日経コンストラクション(NIKKEI CONSTRUCTION) 8月10日号


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労働時間実態調査
低入札より深刻な人材不足
団塊世代の退職と若手の減少で「中堅」の負担が増大

 会社が社員に長時間労働をさせたこと自体が違法だとして損害賠償を請求――。こんな異例の訴訟を2007年3月12日、褐嚼ン技術研究所の元男性社員が大阪地方裁判所に起こした。
 過労自殺や精神障害が業務に起因するものだとして労災認定を求める例は多いが、今回のように長時間労働白体の違法性を間う裁判は恐らく初めてだ。

 4月23日の意見陳述によれば、この男性は「年間4000時間を超える長時間労働の結果、うつ病となり解雇された」として、「うつ病を発症させたことは労働契約上の安全配慮義務違反だ」と主張している。

 厚生労働省が2007年5月に発表した2006年度の全産業平均労働時間は約1810時間。4000時間とは途方もない長時間労働と言えそうだが、本誌が読者に対して実施したアンケート調査では回答者の17%が「年間の総労働時間が3000時間以上」、6%が「同3500時間以上」と答えた。
 専門工事会社や建設コンサルタント会社からは、「4000時間以上」といった回答も複数、寄せられている。

 回答者全体の年間総労働時間の平均は2485時間。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」を見ても建設産業の労働時間は他産業に比べて長く(72ページのグラフ参照)、"高止まり"の状態にある。

 過重労働と死亡や疾病との関連は建設産業でも指摘されており、2006年度に過労死などで労災認定を受けた件数は37件。減る気配はみられず、加えてここ2〜3年はうつ病などの精神障害が急増している。


年間4000時間労働で「うつ病に」

 原告の男性が建設技術研究所に勤務したのは,2001年から2005年まで。国土交通省や自治体が発注する河川整備計画策定業務の治水部分を主に担当した。
 特に2002年から翌年3月までの期間は、大阪・余野川ダムの検討などに追われ、激務が続いた。

 会社の記録によれば、この男性の2002年の年間総労働時間は3565.5時間。当人の主張では4000時間を超える長時間労働を強いられたという。
 その結果体調を崩し、2003年12月には「抑うつ状態」と診断された。白宅療養と復職を繰り返すうち、2005年12月に会社側から重責解雇を言い渡された。

 男性は、「私一人の間題ではない。約40人の部署で3年ほどの間に6人の若手が辞めた。そのうちの4人は精神疾患や自律神経失調症を発症した」と話す。
 精神障害を発症させたのは労働契約上の「安全配慮義務違反」、業務に起因する疾病による療養休業中に解雇したのは「労働基準法違反」などとし、解雇無効を求めると同時に、未払い賃金と慰謝料の合計1300万円の支払いを要求している。

 建設技術研究所では、「当社の労働時間には仮眠や食事などの時間も含まれている。裁判の過程で、誠実に事実を明らかにしていきたい」としている。


 

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